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ISOとASTM物性の測定方法について
ISOとASTM物性の測定方法について
ISOとASTMの違い
- 引張り試験の評価を例に、ISO法と従来のASTM法を比較してみる。
- 引張り試験以外の試験方法について、主な違いを下の表にまとめた。
(1)試験片の形状
規格 | ISO 3167:93 (JIS K 7139:96) | ASTM D638:95 | ASTM D638:95 | |
---|---|---|---|---|
試験片の形 | A形 | B形 | Type-I 試験片 165 57±0.5 76±1 115±5 19(+6.4,0) 13±0.5 3.2±0.4 |
Type-I 試験片 165 57±0.5 76±1 115±5 19(+6.4,0) 13±0.5 3.2±0.4 |
l 1 全長 | ≧150 | |||
l 3 狭い平行部分の長さ | 80±2 | 60.0±0.5 | ||
r 半径 | 20~25 | ≧60 | ||
l 2 広い平行部分の距離 | 104~113 | 106~120 | ||
b2 末端部分の幅 | 20.0±0.2 | |||
b1 狭い部分の幅 | 10.0±0.2 | |||
h 厚さ | 4.0±0.2 |
(2)試験片の調整
規格 | ISO 527-1 (JIS K 7161:97) ISO 527-2 (JIS K 7162:97) |
ASTM D638:95 |
---|---|---|
成形後の保存 | 23±2℃、50±5%RHで88時間以上放置 個別に特別な規定があればそちらに従う |
23±2℃、50±5%RHで40時間以上放置 吸水率の大きい樹脂は、それ専用の規格に従う |
これらの他にも、ISO法では金型のキャビティ構成なども細かく定めており、それらも含めて試験条件の標準化を実現している。注意しなければならないことは、このような試験条件の差から、従来のASTM法と新しいISO法では、試験結果にも差が生じるという事。また両者は、試験片の形状も試験条件も異なるから、基本的に換算式のようなものはない。
ISO測定法 | 従来(ASTM)測定法 | ||
---|---|---|---|
曲げ特性 | 規格番号 試験片の形状 試験速度 弾性率の求め方 |
ISO178 ISO316: 80×10×4mmt 2mm/min 0.05%と0.25%のひずみ時の応力から計算した割線弾性率 |
ASTM D790 127×12.7×6.4mmt 2.5mm/min 初期の最も傾斜の大きい傾きから計算された接線弾性率 |
衝撃強さ (ノッチ側) |
規格番号 試験片の形状 ハンマー速度 |
ISO179(シャルピー衝撃試験) ISO316: 80×10×4mmt 2.9m/s(0.5~5.0Jの場合) |
ASTM D256(アイゾット衝撃試験) 63.5×12.7×6.4mmt 3.46m/s |
荷重たわみ温度 | 規格番号 試験片の形状 試験方法 |
ISO75-1、75-2 ISO316: 80×10×4mmt フラットワイズ |
ASTM D648 127×12.7×6.4mmt エッジワイズ |
Vicat軟化温度 | 規格番号 試験片の形状 試験方法 荷重 |
ISO306 ISO316: 80×10×4mmt フラットワイズ 10Nを採用 |
ASTM D1525 63.5×12.7×6.4mmt エッジワイズ 10N |
MV | 規格番号 オリフィスL/D 流入角 ズリ速度 |
ISO11443 1月20日 180° 1000/s |
- 1月10日 90° 1216/s |
燃焼性 (水平燃焼) |
規格番号 試験片形状 調湿 装置 試験片の数 測定値 |
IEC 60695-11-10:99 125×13×3mmt 23±2℃、50±5%RHで88時間以上放置 個別に特別な規定があればそちらに従う ISO10093で規定されたバーナー 3 燃焼速度(mm/min) 13mm未満は厚みを記入 |
ASTM D635:91 125×12.5×任意mmt 個別規定が無ければそのまま ASTM D5025:94規定 10以上 平均燃焼時間(秒) 平均燃焼距離(mm) |
燃焼性 (垂直燃焼) |
規格番号 試験片形状 調湿 評価 |
IEC 60695-11-10:99 125×13×3mm (3mm以下でも可) 5個2セットは23±2℃、50±5%RHで48h以上 5個2セットは70±1℃で168±2h 燃焼レベル(FV0、FV1、FV2) |
125×13×3mm (3mm以下でも可) 5個は23±2℃、50±5%RHで48h以上 5個は70±1℃で168以上 燃焼レベル |
耐トラッキング性 | 規格番号 試験片の形状 調湿 操作手順 |
IEC 60112:79 >15 × >15 × 4mmt 23±2℃、50±5%RHで88時間以上 まず50滴で破壊しない最高電圧を求める 次いで25V下げて、100滴で破壊しなければ、先の電圧をCTIとする5回再現が必要 |
ASTM D3638:93 50 or 100φ×≧ 2.5mmt ASTM D618 23±2℃、50±5%RHで40h 破壊電圧と滴下数をプロットし、50滴の電圧を読み取る |
■参考
世界の先進各国は、国内の工業統一規格を独自に持っている。例えば、日本にはJIS(日本工業規格)、アメリカにはANSI(アメリカ規格協会)、ドイツにはDIN(ドイツ規格)といった具合である。またそれ以外にも、アメリカのASTM(アメリカ材料試験協会規格)のような独立団体の規格が広く認められているケースも多々ある。これらの規格は、同じ試験項目でもそれぞれ異なっている部分があり、それが国際市場化(グローバル化)によって、不便な点が目立つようになった。そこで、このような障害を解消するという目的から、国際的な標準化が望まれるようになり、1995年1月WTO(世界貿易機構)によってTBT(貿易の技術的障害に関する協定)が発行された。その加盟国は、国内規格を国際規格であるISO(国際標準化機構)規格に整合化する作業を進めている。日本もJIS(日本工業規格)のISO規格への整合を進めており、プラスチックの試験規格も同様にISO化が進んでいる。
ISOとASTMの違い
- 引張り試験の評価を例に、ISO法と従来のASTM法を比較してみる。
- 引張り試験以外の試験方法について、主な違いを下の表にまとめた。
(1)試験片の形状
規格 | ISO 3167:93 (JIS K 7139:96) | ASTM D638:95 | ASTM D638:95 | |
---|---|---|---|---|
試験片の形 | A形 | B形 | Type-I 試験片 165 57±0.5 76±1 115±5 19(+6.4,0) 13±0.5 3.2±0.4 |
Type-I 試験片 165 57±0.5 76±1 115±5 19(+6.4,0) 13±0.5 3.2±0.4 |
l 1 全長 | ≧150 | |||
l 3 狭い平行部分の長さ | 80±2 | 60.0±0.5 | ||
r 半径 | 20~25 | ≧60 | ||
l 2 広い平行部分の距離 | 104~113 | 106~120 | ||
b2 末端部分の幅 | 20.0±0.2 | |||
b1 狭い部分の幅 | 10.0±0.2 | |||
h 厚さ | 4.0±0.2 |
(2)試験片の調整
規格 | ISO 527-1 (JIS K 7161:97) ISO 527-2 (JIS K 7162:97) |
ASTM D638:95 |
---|---|---|
成形後の保存 | 23±2℃、50±5%RHで88時間以上放置 個別に特別な規定があればそちらに従う |
23±2℃、50±5%RHで40時間以上放置 吸水率の大きい樹脂は、それ専用の規格に従う |
これらの他にも、ISO法では金型のキャビティ構成なども細かく定めており、それらも含めて試験条件の標準化を実現している。注意しなければならないことは、このような試験条件の差から、従来のASTM法と新しいISO法では、試験結果にも差が生じるという事。また両者は、試験片の形状も試験条件も異なるから、基本的に換算式のようなものはない。
ISO測定法 | 従来(ASTM)測定法 | ||
---|---|---|---|
曲げ特性 | 規格番号 試験片の形状 試験速度 弾性率の求め方 |
ISO178 ISO316: 80×10×4mmt 2mm/min 0.05%と0.25%のひずみ時の応力から 計算した割線弾性率 |
ASTM D790 127×12.7×6.4mmt 2.5mm/min 初期の最も傾斜の大きい傾きから 計算された接線弾性率 |
衝撃強さ (ノッチ側) |
規格番号 試験片の形状 ハンマー速度 |
ISO179(シャルピー衝撃試験) ISO316: 80×10×4mmt 2.9m/s(0.5~5.0Jの場合) |
ASTM D256(アイゾット衝撃試験) 63.5×12.7×6.4mmt 3.46m/s |
荷重たわみ温度 | 規格番号 試験片の形状 試験方法 |
ISO75-1、75-2 ISO316: 80×10×4mmt フラットワイズ |
ASTM D648 127×12.7×6.4mmt エッジワイズ |
Vicat軟化温度 | 規格番号 試験片の形状 試験速度 荷重 |
ISO306 ISO316: 80×10×4mmt フラットワイズ 10Nを採用 |
ASTM D1525 63.5×12.7×6.4mmt エッジワイズ 10N |
MV | 規格番号 オリフィスL/D 流入角 ズリ速度 |
ISO11443 1月20日 180° 1000/s |
- 1月10日 90° 1216/s |
燃焼性 (水平燃焼) |
規格番号 試験片形状 調湿 装置 試験片の数 測定値 |
IEC 60695-11-10:99 125×13×3mmt 23±2℃、50±5%RHで88時間以上放置 個別に特別な規定があればそちらに従う ISO10093で規定されたバーナー 3 燃焼速度(mm/min) 13mm未満は厚みを記入 |
ASTM D635:91 125×12.5×任意mmt 個別規定が無ければそのまま ASTM D5025:94規定 10以上 平均燃焼時間(秒) 平均燃焼距離(mm) |
燃焼性 (垂直燃焼) |
規格番号 試験片形状 調湿 評価 |
IEC 60695-11-10:99 125×13×3mm (3mm以下でも可) 5個2セットは23±2℃、50±5%RHで48h以上 5個2セットは70±1℃で168±2h 燃焼レベル(FV0、FV1、FV2) |
125×13×3mm (3mm以下でも可) 5個は23±2℃、50±5%RHで48h以上 5個は70±1℃で168以上 燃焼レベル |
耐トラッキング性 | 規格番号 試験片の形状 調湿 操作手順 |
IEC 60112:79 >15 × >15 × 4mmt 23±2℃、50±5%RHで88時間以上 まず50滴で破壊しない最高電圧を求める 次いで25V下げて、 100滴で破壊しなければ、 先の電圧をCTIとする5回再現が必要 |
ASTM D3638:93 50 or 100φ×≧ 2.5mmt ASTM D618 23±2℃、50±5%RHで40h 破壊電圧と滴下数をプロットし、 50滴の電圧を読み取る |
■参考
世界の先進各国は、国内の工業統一規格を独自に持っている。例えば、日本にはJIS(日本工業規格)、アメリカにはANSI(アメリカ規格協会)、ドイツにはDIN(ドイツ規格)といった具合である。またそれ以外にも、アメリカのASTM(アメリカ材料試験協会規格)のような独立団体の規格が広く認められているケースも多々ある。これらの規格は、同じ試験項目でもそれぞれ異なっている部分があり、それが国際市場化(グローバル化)によって、不便な点が目立つようになった。そこで、このような障害を解消するという目的から、国際的な標準化が望まれるようになり、1995年1月WTO(世界貿易機構)によってTBT(貿易の技術的障害に関する協定)が発行された。その加盟国は、国内規格を国際規格であるISO(国際標準化機構)規格に整合化する作業を進めている。日本もJIS(日本工業規格)のISO規格への整合を進めており、プラスチックの試験規格も同様にISO化が進んでいる。